歯の移植の精密レジン治療

こんにちは〜

今回は歯の移植です

実は保険治療で歯の移植は認められているほどよくやっている治療なんですね

「私移植できます!」なんて歯科医師はザラにいます

私も歯科医師になって2年目にはやっていました

歴史で言うと古代エジプトで歯が移植されたであろうミイラが見つかっていたり

(どんな風に見つかったか気になる…)

奴隷がファラオに差し出すなんてことも言われているみたいです

wikipedia の「tooth transplant」参照

wikiなんで嘘かも…ほんとか!?笑

とまあ今回は私が行っている移植治療の話なのですが

本音を言うと

あまり推奨はしてません

理由は「予後が良くないから

つまり何でもかんでも「移植」はダメです

こんな患者さんがいました

「この歯は昔移植してもらって大事に使ってるんです」

でも移植歯はぷらぷら、風をかけただけで揺れている、

それは私は違うと思います

本来治療とは機能を回復するためなのに、明らかに機能を損ねているのです

つまり安易に移植して、なんとか残したからと言って、状況が悪い歯をそのままにしておくと

かえって口腔内全体の状態を悪くする(その歯で噛んでいない、反対側で噛んでいる、など)

なのでよ〜く移植の際は相談しましょう、私は移植のコンサルの時はすご〜く話します

そして今回

奥歯がこんなに大きな虫歯になってしまった方が受診されました

レントゲンで見ても、もう抜くしかない状態

こんな時、抜いたあと基本的には3つです

入れ歯、ブリッジ、インプラント

私がこれに追加するのは

何もしない、移植

年齢、状況によっては「何もしない」がベストだと話すこともあります

治療方針の決定は難しいです

歯1本の診断、お口全体の診断、そしてライフステージの診断です

今回は全ての説明を本人と相談して、「移植」を選ばれました

私の中ではお口の中のエイジング、この方の現在のライフステージ、そして移植のドナー歯の状態、顎の骨の状況

などを総合して「予後が必ずしも良いわけではないが、今の状況では第一選択は移植だと思う」と言うことで

治療方針の「意思決定」を行いました

ちなみに全く同じ状況の患者さんでも、「抜いて終わり」の場合もあります

その方にとってベストは変わることがあります

よく相談することですね

さて

まずCTで細かな診断、方針、シュミレーションを行います

こんな感じ

そして手術当日

まず大きな虫歯の歯を抜く

次に隣にある親知らずを抜歯

それを移植

そしてそーっと刺激を与えないように3週間待つ

もちろん最初はぷらぷらですが、このくらい経つと、もうそこにあったかのようにしっかりしています

しかし中にはここに至るまでに脱落することもあります

そういったことを防ぐために私なりに準備と工夫をしています

さてここで終わり?

ではダメです

一回抜いてますから歯の中は壊死した組織で満たされています

つまり「感染しやすい状態」なのです

なので消毒する必要があります

つまり根管治療が必要です

移植歯の根管治療は特殊です

まず回転しているので向きが普通の歯と違うので消毒のイメージがしづらい

そして虫歯ではないので健康な歯が多く残っている

なので私なりに消毒する穴を小さくして削る量を抑えています

この手法、今海外でも話題で「ninja access」と言います

(何故に忍者!?)

大体3mm×4mmくらいの穴で治療します

海外にはとてもすごいninjaもみます、私には無理

手術と一緒で傷口は小さいに越したことはありません

健康な歯を温存できるので強度はかなり上がり予知性も高くなります

と言う報告も出ています(被せ物にしなくて済むってことです)

そして今回はすごくまたマニアックな道具を使いました

レーザーです

これすごいのが穴にチップ先端入れてレーザー照射するだけで消毒終了

まさに「歯に道具つけて待つだけ〜」の一歩手前にまできた近未来の道具です

従来法は細いヤスリを使ってゴシゴシ手作業で洗いますがそうせずとも大丈夫

根管治療は3〜4回が当たり前ですが

1回で十分な効果を得られる優れものです

といっても少し今回ヤスリ使いましたが

あとは消毒したところをお薬で封鎖(根管充填)

まあまあ綺麗に埋められました

あとはいつものレジンで埋めて終了

そこに歯が戻った様にできたでしょうか?

うまくいけば移植もとてもいい治療です

もうなんでもかめているとの事

しかし診断や術式、経過、全てに注意が必要なので気が抜けません

あと15年は噛んでほしいですね

動画リンク

 

CR

前の記事

レジンベニア治療
CR

次の記事

深ーいヒビ